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滞性水域を持つ閉鎖性海域として、大阪湾、広島湾、別府湾が代表される。これらは、地形特性からFig.2に示す3タイプに類型される。

 

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Fig. 2 Types of stagnant water region (shaded area) in the Seto Inland Sea.

 

大阪湾での現地観測による夏・冬の流動観測結果では、Fig.3の模式図に示すように、湾内には明石海峡

 

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Fig.3 Tidal residual circulations and stagnant water region(shaded) in Osaka Bay.

 

からの循環流Aと友ケ島水道からの湾口循環流Bの2つの循環流が存在し、湾奥には明確な停滞性水域が形成されていた。この停滞性水域内には、夏冬を通じて上層に直径約15kmで時計回りの循環流Cが存在することを初めて明らかにした。この循環流は1回転するのに約1週間を要する速さで停滞性水域を形成する原動力となるもので、この循環流を「閉鎖型循環流」と定義した。停滞性水域と明石海峡からの循環流Aとの間には大規模なフロント(潮目)が安定的に位置し、停滞性水域の形成に寄与していることも明らかとなった。更に、停滞性水域内の閉鎖型循環流Cは、淀川からの高栄養塩の河川水を取り込み、一定期間停滞する。このため、植物プランクトンによる赤潮の発生と、底層での貧酸素水塊の形成に極めて重要な役割を果たしていることが明らかとなった。大阪湾にとって停滞性水域の存在が湾内環境悪化に大きく寄与しており、この停滞性水域を物理的に消滅させ、湾内流況を適正にバランスすることが環境改善に大きく貢献するものと思われる。

 

3. 水理模型による流況制御技術の応用実験

そこで、Fig.3に示す大阪湾の停滞性水域の流況改善を図るため、ミチゲーション技術としての「流況制御技術」を大阪湾に適用し、その効果を検証する水理模型実験を行った。実験を行った模型はFig.4に示す世界最大の瀬戸内海大型水理模型で、水平縮尺2000分

 

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Fig.4 Plan view of the Seto Inland Sea hydraulic model.

 

の1、鉛直縮尺159分の1の潮汐水理模型である。模型内の潮汐、潮流、拡散の相似性は既に達成されており、23年の実験歴を持つ高性能な水理模型である。
実験で適用した流況制御技術として、?湾口地形改変工法、?海底地形改変工法(作澪)、?流況制御構造物設置工法(導流堤等)を主体として各海域に適用し、その効果を検証した。

 

3.1 「湾口地形改変工法」の効果
大阪湾停滞性水域の流況改善のために「湾口地形改変工法」を適用した応用実験では、外洋側湾口部の友ケ島水道の湾口地形を改変する工法を用い効果検証を行った。この工法は湾内に流入する潮流エネルギー量や海水交換量を制御可能とし、湾内の循環流や水塊分布の配置・規模を変化させる効果が期待できる。友ケ島水道はFig.5に示すように、全幅が約11kmで、その間に2つの島(地ノ島、沖ノ島)が存在する。瀬戸として

 

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Fig. 5 Bathymetry of Tomogashima Channel

 

は淡路島側の由良瀬戸(幅約4km、水深140m)、中央の中ノ瀬戸(幅約1km、水深約50m)、東側の加太瀬戸(幅約1km、水深50m)と3つ存在する。そこでFig.6に

 

 

 

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